アリスのしっぽ

何せうぞ くすんで  一期は夢よ ただ狂へ

昭和の少女漫画の話①ー木原敏江様ー

 私の趣味嗜好にはこの方の作品が色濃く反映しています。別カテゴリーの「閑吟集」シリーズもきっかけはこの方の漫画からでした。

作品の中に度々引用される印象的な和歌や歌の数々。代表作の一つ「摩利と新吾」(LaLa・白泉社刊)の中でもいくつか引用されていました。

風姿花伝」を著した能の大成者世阿弥と、彼のパトロン室町3代将軍足利義満の時代を描いた「夢幻花伝」にもたっぷり出てきます。

 漫画の中の語り口が何とも私好み。どちらかというと初期の作品の「天まであがれ!」(週刊マーガレット集英社刊)は沖田総司を主人公とした新選組の物語です。だけど歴史漫画ではなく、「幕末を精一杯いきぬいた若者達の青春」なんですよ。ジャンルとしては。最終ページの台詞(語り)は「ー墓碑銘は青春というー」でした。ここだけ切り取るとあまり感動が伝わらない感じですが、当時は読んだ瞬間涙涙でした。何しろ新選組ですからね。登場人物ほぼ全員(齋藤一以外…泣)さようならの史実は動かせません。 私の司馬遼太郎好きの原点はもしかするとこの「ドジさま」(木原敏江先生の愛称)の「天まであがれ!」かもしれません。

 木原作品には「時をかけるキャラクター」が登場します。「フィリップさま」です。「アンジェリク」のように「フィリップ」の名前で登場する作品もたくさんありますが、違う国籍?名前で登場する作品ももちろんあります。「天まであがれ!」の土方歳三もそうです。ここで名前を出すのが適当かどうかはわかりませんが、手塚治虫先生作品の「ヒゲおやじ」さんの立ち位置なのかな、と当時思いながら読んでいました。とにかくフィリップさまは「麗しの」キャラクターでしたね。

 「うちでは漫画を読ませてもらえない」という塾生の話をいまでも聞きます。それはご家庭の方針なので仕方ないことだとは思いますが、「漫画」というジャンルをすべて否定しないでほしいかな、とは思います。国語の教科書に手塚治虫さんの話がのる時代です。我が家の両親は本や漫画に関しては全く「これはだめ!」とは言わなかったのでありがたかったな、と思います。

 今はもっぱら少年誌を読んでいますが(スラムダンクONE PIECE!鬼滅は本誌で読んでましたがブームに乗り遅れた笑)木原作品は思い返すと「また読みたい!」と懐かしくなるものばかりです。

摩利と新吾」や「アンジェリク」など、ほとんど紙媒体のコミックスで持っていたのですが、数年毎の「断捨離」で……どこにあるかな?地震とか雨漏りとかいろいろあったしな(遠い目)

 

 昔懐かし若かりし頃へのノスタルジックですね。