アリスのしっぽ

何せうぞ くすんで  一期は夢よ ただ狂へ

エセ競馬ファン

  • 変わった小学生

なぜか小学生の頃から競馬中継を見るのが大好きだった。変な小学生だ。現代の小学生と違い暇だったのだろう。野球やバレーボール、相撲にスケートetc.。しかし、なぜかサッカーだけは見なかった。はまらなかったと言うべきか。競馬中継と言ってもNHKで中継されるいわゆる「重賞」というものをよく見ていた。芸術品ともいえる馬の体型=フォルムが大好きなのだ。へったくそな(笑)馬の絵をスケッチブックによく書いていた。挙げ句の果てに馬の絵で有名な坂本繁二郎の絵が見たい!と騒ぎ立て(さすがに欲しいとは言ってない)彼の作品を含む日本画家達の画集を買ってもらった記憶がある。

本当の競馬ファンではない。馬券は買ったことがないからだ。勝ちそうな馬、好きな馬に「投資」をするのが競馬本来の目的なのだろうから。まあ、難しいことは置いておいて、テレビで楽しく「勝ちそうな馬予想」をしていた。パドックを進む馬を見ては、「なんかこの馬いいね」とか「この馬は落ち着きがないね」と、もっともらしく話していた。一度だけ、ダービーで名ジョッキーの武邦彦騎手(武豊騎手のお父上)が乗る「ロングエース」を「推し」ていたら本当に勝ったのでテレビの前でガッツポーズをした。

その後、ハイセイコーの一大ブームがおきたが、あまりブームになるとはまりきれないのが私の悪い癖である。こんなにみんなが期待しているからなんとか勝って欲しいな、とは思っていたが思い入れはあまりなかった。

「天馬」トウショウボーイテンポイントの「TT」対決は語り継がれる名勝負だったが、その後のテンポイントに起こった悲劇(悲劇の名馬テンポイント)もあり、今こうして少し書くだけでも涙があふれてくるので……詳しく書けない。ごめんなさい。

時代は三冠馬誕生まですすむ。1983年。シンザン以来の三冠馬ミスターシービーである。なんと言っても父親が!前述の天馬トウショウボーイである!とにかくレースパターンは常に常識破りな最後方からの追い込み。「あ~もう絶対無理~!」からの逆転劇。「ドキドキ感ハンパ無い」(何語?)競馬を常にしてファンを楽しませたのか、ファンの寿命を縮めたのか……。有名なミスターシービーのファンには当時フジテレビで競馬中継を担当していたアナウンサーの鈴木淑子さんがいる。鞍上は吉永正人。当時の奥様は「気がつけば騎手の女房」の吉永みちこ氏である。

 

しかし翌年なんとまた三冠馬が誕生する。「皇帝」シンボリルドルフ。鞍上は岡部幸雄氏。本当に圧倒的に強かった。ミスターシービーはルドルフには一度も勝てなかった。もちろんシンボリルドルフも大好きだったが、どちらかというと私は「判官びいき」で、ミスターシービーに対する思い入れの方が強かったので勝てなくなったミスターシービーを見ているのはちょっとつらかった。その後この二頭は写真集も出されてしっかり購入した。1983年はちょうど就職した年だ。

高校生の頃一時期、JRA茨城県美浦トレセンに就職するのを夢見ていたことがよみがえった。田舎だし、時代的にも多分さすがに親も難色を示すと思ったので、まずは「名の通った偏差値の高い有名大学」に入ろうと考えた。そうすればあとはまあ好きにさせてくれるだろう、と計画は立てたものの、学力が足りず(笑)見事に頓挫した。結局就職先はお堅い大手の電機メーカーの一つだった。多分仕事の大変さはトレセンのお仕事の十分の一以下だろう。

自分の中ではやはり前記の二頭が大きなウエイトを占めている。その後は自営業の学習塾に嫁に来て、子育てやら仕事やらでなかなか競馬中継を楽しむ余裕もなかった。当時の社員でオグリキャップの大ファンがいてこれも伝説の「オ・グ・リ」コールの熱狂の中に実際にいた、と言う話を聞き、(なんてうらやましい!)と思っていた。人気投票をしたら今でも間違いなく上位に入る、もしかしたらトップかも?と思うほどブームを起こしたあし毛の馬体が愛しい馬だった。

あとはやはりディープインパクトだろうか。最後の有馬記念の「今翼を広げた!」「間違いなく飛んだ!」という名実況(○ッド・○ル?)とともにゴールを駆け抜けたあの雄姿は忘れられない。だが、ペガサスというよりはむしろF1のレーシング・カーのようなケタ違いの迫力だった。鞍上はもちろん天才ジョッキーとして今も君臨する武豊である。この後別日記で書くアーモンドアイもこの映像を見てしまうと「いや、これはかなわないな~」と素直に認めてしまう(個人の感想)

ディープインパクトはその後の種牡馬としての活躍・実績も含めて日本競馬界の最高傑作といわれている。

はしょりすぎだがきりがない。本当にきりがない。ごめんなさい。

  • そして愛しのアーモンドアイへ

そして私は私のペガサス「アーモンドアイ」とめぐりあう。数々の好きだった名馬たちを一気に抜き去り、彼女が私のナンバーワンである。自分の年齢的にももうこれほど惹かれる馬には巡り会えないと思う。アーモンドアイは別日記でたっぷり語りたい。

相も変わらず馬券を買わないエセ競馬ファンのままだ。たぶんずっと。ただ、死ぬまでに一度は東京競馬場か府中競馬場に行ってみたい、とは思っている。いや、それよりむしろ北海道の牧場か。いろいろ思いを巡らすのもまた楽しからずや、である。