スラムダンクに学ぶ勉強方法
スポーツの世界で考えると納得しやすいと思いますが、技術の向上にはとにかく地味な反復練習が何より大切、ということはどの世界でも言われています。＊「スラムダンク」という、かつて一世を風靡したバスケットボールのマンガがありました。もちろんマンガですから、設定、展開、主人公、マンガらしいつっこみどころも多々ありましたが、とにかく一貫して「基礎」の大切さを唱えていたのが素晴らしかったと思います。（以下ネタバレあり）何しろ最後、主人公の桜木花道君がシュートを決めようとする時のセリフが「左手は添えるだけ」ですからね（泣）。とにかくバスケど素人の花道君は、活躍しだしてからもずーっと基礎練習を（練習後に）やっていたり、ある程度自信がついてきてから、無謀にも（笑）スター選手の流川君に挑んだ１オン１でコテンパンにやられたり、ゴール下以外のシュートを覚えるために特訓したり（これがラストの感動につながる）、その特訓により少しだけバスケの技術が分かってきだした花道君が、流川君のシュートフォームに不本意ながらも自分の理想形をみてしまったり、まあ語り出すときりがありません。
多分皆さん大好きな３ポイントシューターの三井君。天才と呼ばれていて、でもいろいろあって（雑！）不良になって、でも戻ってきて。本当はここ最大の感動ポイントなのですが、今は基礎の大切さについて語っているので、泣く泣く省きます。その復帰した三井君ですが、ブランクがあるのでやはり体力が他の選手に比べてない……そこも綺麗事でなく画いている。それを後悔する。でも遊んでいたその時間に戻ることはできない。正に後悔先に立たず、です。
キャプテンの赤木君と盟友の木暮君は中学からの仲間です。もっとも、木暮君は線の細い優等生タイプで、花道君からは「メガネ君」と呼ばれています。バスケ部も何となく入ったのですが、その運動量に驚きます。基礎ばかり、走りっぱなしのスポーツだ、と赤木君は木暮君に言います。しかし、彼は高校三年生の現在までバスケを続けています。もちろん彼は自分の実力もわかっていて、高校でバスケは終わりだ、と花道君に呟いてる回想シーンも出てきます。そして、そんな木暮君の活躍するシーンもちゃんと出てくるんですね！これが。
もちろんスラムダンクの中では、努力だけではどうにも埋められない天才的な実力をもった選手もでてきます。そのバランスがいい。そしてよき指導者。はいはい安西先生ですね。その安西先生にも「基礎」にまつわるつらいエピソードがあります。まだ白髪鬼と呼ばれていた頃、ものすごい才能をもっていると思われる選手を見つけ、とにかくやはり地道な基礎練習をしっかりしっかりさせ、実力を伸ばそうとしたのですが、残念ながら、その彼は安西先生のもとを去り、海外に自分のキャリアを求めます。少しの間そこそこ活躍はしたけれど……という悲しいエピソード。環境を変えさえすれば高く飛べると思っていたのかなあ……という残された手紙がとても悲しい。それからの安西先生は白髪仏とかわります。
このエピソードはとても心に残っていて、例えば、野球やサッカーでも海外に行く選手がいると、大丈夫かな？と思ってしまう選手がいますよね。ただ、野球、サッカーは日本で人気ですから日本にすぐ戻ってきても、またプレーできるので……その辺りは種目によって環境も全然違いますよね。
まあ、スラムダンクは高校生の世界です。アマスポーツなので、お金云々はもう少し後の話ですね。でっ、「基礎の反復練習」がどれだけ大切か、ここまでスラムダンクを例に語ってきたわけですが、やっと本題です。勉強でもそれは全く同じなのです。部活で素振りを５０回するように、投げ込みを５０回、シュート練習を５０本、ラリー練習、ETC……それと同じ感覚で単語練習を、英文練習を、漢字練習を、計算練習をしたならば必ず基礎力は身に付くはずなのです。中学生は本当に忙しくて大変だと思いますが、部活と勉強のポジションが逆転してしまっては、やはりまずいと思います。朝練は一生懸命できる子がなぜ、英文を書くのは数回でいやになってしまうのか。素振り（野球でも、剣道でもテニスでも）は楽しいけど、単語かくのは楽しくない？でも小学校、中学校で習う内容は全てこれからあなた方が生活して行く上で必要なことなのです。勉強だけに限らず。
どうか、勉強における基礎の反復練習も怠らずにやってみて下さい。分かるようになる、書けるようになる、理解できるようになると勉強もだんだん楽しくなり、先生の話す言葉（授業や教え）も頭に入ってくるようになります。そこから人とのコミュニケーションも生まれます。私達にその「お手伝い」をさせてもらえたら嬉しい事です。
＊スラムダンクについて
作者は井上雄彦。１９９０年～１９９６年にかけて週刊少年ジャンプ（集英社）に連載された、バスケットボールにうちこむ高校生たちを描いた物語。主人公は中学時不良少年だった桜木花道（さくらぎはなみち）。神奈川県の「湘北高校」に入学し、そこでバスケットボールにであう。個性あふれる面々と全国大会出場を目指していく過程が描かれていく、バスケットボール漫画の金字塔。単なる「スポ根もの」ではないし、もちろん「ありえない魔球や必殺技」も登場しない。「不良の再生物語」、「美しい友情もの」、「恋愛もの」（桜木君憧れの美少女は登場するが）ですらないところがたまらなくいい。定期的に読み返したくなる作品。
