アリスのしっぽ

何せうぞ くすんで  一期は夢よ ただ狂へ

アーモンドアイに魅せられて

好きすぎて好きすぎてレースの生中継さえ見られなかった馬が一頭だけいる。

アーモンドアイ。名前の通りつぶらな目をした大変美形の馬である。いつもレース時につける、代名詞ともなった「白いシャドーロール」も「かわいさ増し増し」に寄与している?ような気がする。

最初にビジュアルの話になってしまったのは完全な邪道。申し訳ない。何しろアーモンドアイは牝馬三冠(桜花賞オークス秋華賞)。さらには芝GⅠで9勝を達成した記録にも残る名馬なのである。国枝厩舎。鞍上は当代きっての名騎手ルメール。コロナ禍の前、2018年のジャパンカップにおける2:20.6という驚異的なレコードタイムを出したときの場内のうねりのようなどよめきはテレビ越しでもはっきりわかり鳥肌ものだった。そのアーモンドアイも無事に引退して現在は「お母さん馬」となっている。

 

生中継が見られなくなったのは有馬記念で着外になってしまってから。まあ、有馬はお祭りなので仕方ないとは思ったが、一体何が起こったのかしら、と心配するほどの惨敗だった。初めて見る姿だった。

 

ただ、彼女の価値は何ら下がることはない。ルメール騎手と共に毎度毎度胸のすくようなレースをみせてくれた。牝馬と牡馬の出走するレースの違い、距離の違い、競馬場の違い、ライバル達、様々な要素がからむので「9冠!」「皇帝ルドルフ(シンボリルドルフ)を超えた!」などとはあまり強調して欲しくない。競馬ファンにはその時代その時代で大切にしたい大好きな馬がそれぞれいるのだから。

 

コロナ禍で無観客のレースもあった中、三冠馬が三頭ーアーモンドアイ・コントレイル(無敗の牡馬三冠)・デアリングタクト(無敗の牝馬三冠)ーそろった2020ジャパンカップがアーモンドアイの引退レースだった。観客も少しずつ入場できるようになっていた。そして、レースはまるでドラマのような結末。「三冠馬の共演だ!」と絶叫の中トップで入ったのはアーモンドアイだった。2着がコントレイル、3着がデアリングタクトという競馬ファンすべてに神様がくれた奇跡のようなプレゼントだった(この神様~というフレーズはかつてプロ野球で監督同士としての「ON対決」の時に使われていたもので、気に入ってしまいついつい引用してしまう💦)

関係者の方々の英断も本当にすごいと思う。厩舎や馬主や関係者の利益もろもろ考えたら絶対さけるでしょ?それが三頭そろうなんて。それぞれの矜恃もあるのかも。

コロナ禍の中でファンに夢を与えるための英断だったのかな。拍手。ゴールの瞬間の写真パネルは「日刊スポーツ」に注文してしっかり購入し、時折眺めてうっとりしている

 

ちなみに偉そうに語っているが、冒頭で書いたとおり私はこの「レース結果」をまずしっかり確認してから、安心して録画したテレビをみた。しかもNHKとフジテレビを両方予約して……。どれだけ気が弱いのか。ただ、本当にただのファンなのに……。

 

現在はノーザンホースパークのオンラインショップでアーモンドアイのレースをおさめたDVDを購入し、定期的に見て癒やされている。あの後方から飛んでくる姿がなんともすっきりするのだ。実況もすばらしい。写真集やぬいぐるみ、その他結構集めて悦に入っている。あとはなんとか元気で無事にたくさん子供を産んで欲しいものだ(完全におばあちゃん目線)

 

こんなに素敵な競走馬をリアルタイムで見られて、こんなに夢中になれる馬に久々に巡り会えて幸せだ、と思う。ちなみに彼女の引退後はまた冷静にテレビ観戦出来るようになり、先日の2022ダービーもみて「豊コール」を懐かしい思いで聞いていた。私はやはりルメール騎手を応援していたのだけれどおしくも2位だった。あとは国枝厩舎の馬はこれからいつも応援しよう、アーモンドアイの子供はどうかな、果たして競走馬としてはどうかな?と考えるとわくわくする。

 

血統とか、種牡馬とか、繁殖牝馬とか、まさに競走馬は人の「叡知」と「ロマン」とそして「データ」や「お金」の結晶で、走るためにつくられたものではあるけれど、さらに合法的とはいえギャンブルではあるけれど、やはり競走馬たちが鞍上の騎手達に導かれひたむきに走る姿に夢中にならずにはいられない。