アリスのしっぽ

何せうぞ くすんで  一期は夢よ ただ狂へ

恋する閑吟集②-何せうぞくすんで-

55 何せうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へ

ブログの一言説明もこれにしている通り、いかにも当時の人生観をあらわしている歌です。田舎育ちで、ただただ型にはまった生き方しかしてこなかった私自身とは真逆の、だからこそうらやましい感じがする歌ですね。残念ながらいまさらこういう生き方はできないな~。ただ、当時の人々も「出来ないからこそ歌に詠んでいた」のかも。つらいことは「一期は夢」と考えて耐え忍んでいたのかもしれません。その前の49番からこの55番まで人生、うき世(浮世・憂き世)を詠んだ歌が続きます。ここの一連のリズム感はすばらしいです。

「何になろう、まじめくさってみたところで。所詮、人生は夢よ。ただ面白、おかしく遊び暮らせ」

こちらも例によって木原敏江さんの漫画にでてきて、「ただ狂へ」という表現がすごく印象的でした。

ちなみに49~55のなかの何首かここにのせておきます。当時の市井の人々や、観阿弥世阿弥の姿が見えてきませんか?

50 何ともなやのう 何ともなやのう うき世は風波の一葉よ

51 何ともなやのう 何ともなやのう 人生七十古来稀なり

54 くすむ人は見られぬ 夢の夢の夢の世を うつつ顔して

*つけたしですが・・・最近だと漫画「ワンピース」のワノ国の人々の姿が思い浮かんでしまいます。こちらは今まさにワノ国編クライマックス。火祭りをする人たちのBGM