恋する閑吟集④ー水に降る雪、片恋の歌ー
248 水に降る雪 白うは言はじ 消え消ゆるとも
「わが思いは水に降る雪よ。あからさまにそれと打ち明けることはすまい。たとえこの身が雪のようにはかなく消え果ててしまおうとも」
一瞬でとけてしまう「水に降る雪」は、「はかないもの」の象徴ですね。到底結ばれない片恋の歌。忍ぶ恋。
いい加減しつこいですがこれも「摩利と新吾」の中で、摩利のおうちの使用人の「ささめちゃん」が「摩利さま」に抱いている想いです。本当に切ない。絶対届かない思い。ささめちゃんは初期に一度登場して、また後半海外編で劇的に登場します。身分違い云々はまあ時代的なものもあるけれど、そもそも摩利のただ一人の「想い人」は新吾なので……。
閑吟集にはこのほかにも結ばれない恋やうまくいかない恋をよんだ小歌がいくつかでてきます。ご紹介しますね。
59 我が恋は 水に燃えたつ蛍々 物言はで笑止の蛍
245 薄の契りや 縹(はなだ)の帯の ただ片結び