アリスのしっぽ

何せうぞ くすんで  一期は夢よ ただ狂へ

永遠の憧れ②ー「本能寺の変」の日に。なぜか今更「1582」(亀梨和也ソロ曲)を語る ー

  • 彼の型としての美しさ

 彼のその姿はまさに「型」・「様式」としての女性の「美」をあらわしていた。歌舞伎の女形、あるいは宝塚の男役とも通じるその美しさは彼の特性と言えるべきものであろう。ある意味つくりこまれた美しさは顔の造りや体型を超えて「女性としての型の美」として完成される。「模倣力」とも言えるのだろうか。そしてそれはライブや舞台などの「生(なま)」の世界で光り輝き、ドラマなどの「女装」ではニュアンスや見え方が違ってくる。あくまで私個人の感想だが今ひとつなのだ。似合わないとかそういうことではない。「こんなもんじゃない!」のだ。彼の放つ独特の「色気」は男性の、女性のとはっきりわけられない。しかもクラシカルな色気。まだモノクロの世界の大女優グレタ・ガルボマレーネ・ディートリッヒ。あと、業界でも複数の方が言っていた(記事などで)が、デヴィッド・ボウイ。(これもあくまで個人の感想。好きな人の羅列!笑)しかし、かといって両性具有というわけでもない。不思議な人である。

  • 亀梨和也」の「1582」                         

「彼」とはKAT-TUN亀梨和也さん。彼のソロ曲「1582(いち・ご-・はち・に-)」における彼のパフォーマンスは彼のファンであったらおそらく誰もが打ち震えるほど好きなものであろう。初期の傑作である。これを見ないと人生損するぐらいの傑作だと冗談ではなく思っている。バレエや歌舞伎や演劇などの舞台芸術が好きな方にも見てほしい、とも本気で思っていた。

 

1582年は本能寺の変の年。今日6月2日はそれが起こった日といわれる。安土桃山時代、天下統一目前だった織田信長が家臣の明智光秀に本能寺で奇襲され、炎の中散った事件である。女性目線の歌詞の中に固有名詞は出てこない。作詞は「N」と記載されていて(信長と濃姫?)後に自分が書いた、と公にしたが多分ファンは皆知っていた。

着物をまとい歌い踊る彼からまき散らされる官能的なエロティシズム。野球少年だった彼の首は細く長くもないし、手も指も小さめ、短めで優雅とは言いがたいにもかかわらず、彼の動作はまさに「信長を慕う濃姫」のそれなのである。 

彼はプロ野球選手をとてもリスペクトしていて、彼らの投球フォームや変化球の握りなどを教わると見よう見まねでもすぐにこなしてみせている。もちろん彼自身「まねはまね」でしかないこともよくわかっている。プロはプロ。松坂大輔さんのものまね?をオーディションでしたことは自分でも語っている。よく見て研究しているのか、天性のカンで出来てしまうのか。スラムダンク好きの私としては、研究し尽くした上での(努力に努力を重ねた上での)パフォーマンスであってほしいけれど。そして彼は「表現のプロ」。そこについては疑いようがない。

  • 閑話・独り言

[こっそり長い独り言・・このソロ曲はKAT-TUN東京ドーム連続8日間を含む10日間公演でのソロ。ドームの空間を生かしきって、それはそれは壮大なソロだった。このライブは演出といい、規模といい、6人時代ーもはや初期!ーのクライマックスだろうか。大学1年生になっていた長女は晴れて都会で一人暮らし。高校時代の同級生とほぼ毎日ドームにかよったこの日々が人生で一番楽しかった、とノスタルジックにひたっていたこともある。まあ、その後いろいろあったしな~。もちろん常に「今」のKAT-TUNが一番、というのは当たり前。そして「亀梨和也」も常に「今」が最高の、ファンにとっては絶対間違いない人。ただ、「美しき思い出=楽しかった過去=輝いていた青春時代」というトッピングはどうしようもない。しかし、例えば今年のツアー(HONEY)も大人のKAT-TUNをみせてくれて3人が3人とも本当に素敵だった。そしてなかなか歓声、嬌声をだせないここ2年間にあわせて考えて作り込んでくれているのがわかる、KAT-TUNの優しさが感じられる満足度の高いライブだったと個人的に思っている]

さて、その「1582」。登場は高いところから。般若の面をつけ、けだるい雰囲気を醸し出す着物姿の美女。ライブでは歌詞の1番が女性目線。秀逸なのが口紅を使った演出。私はこのあたりからライブDVDが出た後コマ送りしてエンドレスリピートしていた。もちろん一人の部屋で。端から見ると怪しい人であるがおそらく皆さん同じはず。娘もそうだし。あの「うつろな目」がとにかくいい!踊りながらの着物のさばき方もいい!(この裾やマントの使い方は別ソロの「ロスマイ」でも発揮されている!しかし今回はこれを語るのは自制する)
間奏もゾクゾク(声、というかとにかく妖艶)するけれど、ライブにおいては2番で着物を脱ぎ捨て武士になった。この一瞬の雰囲気の切り替えもすごい。歌舞伎の早変わりに近い感覚。歌詞も語尾を男性目線に変え、ここから圧巻のフライングが始まるのだ!確かにその後の演出を考えるとこれがベストだろう。天才。私は彼の着物姿でのしなだれ具合をこよなく愛しているので(最近のソロのPure Ice!もたまらん、けどこれも自制)もう少し着物姿で乱れる様子を見たかったが(こらこら)傘や水や巻物を駆使してのフライングは本当にすばらしく、最後の水とお湯をつかって舞台上に倒れ込む(本当に倒れちゃったんじゃない?)その瞬間まで圧巻のパフォーマンスだった。本当に一期一会。この世に存在してくれてありがとう。寿命が延びたよ。

  • おまけ・言霊

彼は仲のよい歌舞伎役者さんもいるし、歌舞伎も見たことがあるので(その時は自分には難しかったかな-中身か?伝統の型か-?と言っていたけれど)いつか歌舞伎界の方とがっつり舞台で共演してほしい、とずっとひそかに思っている。まあさすがに玉三郎さんとは接点ないだろうし、あの伝統の世界では厳しいかもしれないけれど、最近はそれこそ歌舞伎で「ワンピース」もやったし、狂言でも「鬼滅の刃」やるし、絶対いけると思うし、何時か実現しそうな気がする。だって彼は「亀梨和也」だから。彼のファンになったことこそ(私って見る目あるじゃん!)をファンとして誇りに思えるほどの人だから。言霊。