アリスのしっぽ

何せうぞ くすんで  一期は夢よ ただ狂へ

「殺処分ゼロ」は遠いのかも

「ある朝、車のエンジンルームの中に子猫が入っていて……。」市内のある会社の若手社長さんが語り始めた。ネットなどでよく聞く話だが、実際直接耳にするのは初めてだった。まず、よく気がつかれたと思う!よかった。ただ、このまま外に出してもまた入り込んでしまうかも知れないし、放っておいても……と、困り果て県内の動物愛護団体、施設に聞いてみたところ、今のところ猫は受け入れられないと言われたそうだ。いざ持ち込む時にはお金がかかる場合もあるらしい。それはそうだろう。引き受けた後のワクチン、餌、さらに去勢や避妊手術などもする場合にはいったいどのくらいの費用が必要か・・・我が家にも猫がいるのでわかるが気が遠くなる。

 

その若手社長は、仕方が無いので事の経緯を紙に書き、箱に入れ外に置いていたところ半日もたたずにどなたかが拾って?つれて?いってくれたそうだ。その事をまた先の団体に報告したところ、帰ってきた言葉は「あなたのしたことは犯罪ですよ」だそうである。テレビのCMでたまに目にするあれである。

ただ、あきらかにそのテレビのCMの親子と彼では立場が違う。車に「たまたま」入り込んでしまった子猫を何とかしたかっただけなのだが、そこで取るべき行動はやはり外に出して「そのまま放っておくこと」だったのだろうか。自分で引き取らない以上はそうするしかないのだろう。愛護団体としてもはっきりそうしろとはもちろんいえないのもよくわかる。しかし、そう言われてしまった彼の怒りもよくわかる。

 

おそらくこんな話は日本中にあふれているのだろう。自分の感覚からいうと、昔に比べると野良猫や捨て猫は明らかに減っているのだが、そうではないのかも知れない。

そもそも自分が育った時代は、田舎では猫は皆外飼いで勝手にいろいろな家を闊歩していたしな~。だから「猫の集会」という言葉も存在してたのだろうし。

 

主人の同級生でやはり動物保護活動をしている方がいるので、話を聞いてみると、こちらはこちらで「暴言を吐かれるのは日常茶飯事!」とおっしゃっていた。よく言われるのは「国から補助をもらってるくせに全部自分でとってるんだろ!」だそうだ。(いや、一銭ももらってないんだよ……ため息)こちらも聞いていて胸が痛くなる話だ。

 

かといって、自分に保護猫活動(そもそも犬はお世話自体がハードル高い)ができるかというと、今はまだ無理だ。時間的にも金銭的にも。せいぜい保護猫を引き取るぐらいしか出来ないが、それすら我が家の猫たちとの関係を憂慮して躊躇している。

 

人間も少子高齢化の時代。動物も長生きの時代。動物が自分の心を癒やしてくれるけれど、それこそこれから飼うとしたら、どちらが長生き?と冗談ではなく考えてしまう時代。本当にしっかり世話をする、出来る人「だけ」が飼うべきなのかもしれないけれどそれもまた問題点が出てきそう。

 

「殺処分ゼロ」はまだまだ机上の空論なのかもしれない。